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北陸新幹線ルート選定問題について

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要約

北陸新幹線京都・敦賀間ルート選定問題に対し最適解を提示する。京都駅から市内を地下鉄の通常深度で縦貫し国際会館駅に至る。さらに、大原から若狭街道(いわゆる鯖街道)を通り小浜に至る。ここで車両を折り返して福井県若狭町上中付近まで戻り、90度方向を変え後ろ向きに北に向かい、再度、車両を折り返して順方向として箱館山西麓(滝谷山との間の谷)をへて野坂山地東麓からマキノ黒河林道沿いの谷筋を北上し敦賀に至る。列車の方向転換は滋賀県高島市で行ってもよい。直達列車のため高島市朽木から箱館山西麓に至る短絡線を設置する。サンダーバードは京都・敦賀間を文字通り一直線に走行する。トンネル区間は短く、距離も最短で、京都・敦賀間を最短時間で結ぶ。環境への負荷も小さい。新幹線小浜・上中・高島新駅はJR小浜線・湖西線の価値を高め、福井県若狭地方および滋賀県北部湖西地方を活性化する。国際会館駅は現代の朱雀門として、現代の羅城門である京都駅とともに京の都への北と南からのエントランスとなる。国際会館駅と京都駅以外にも下鴨・御池・四条など複数の乗り換え駅を設置することによって京都市内の交通事情を改善し、高島など新幹線駅周辺を整備することによって旅行者や国際会議参加者のための宿泊事情をも改善する。

はじめに

北陸新幹線京都・敦賀間のルート選定問題が混迷の度を深めている。2025年参議院選挙において京都府選挙区で日本維新の会の候補が米原ルートを第一公約にしてトップ当選したことから、敦賀・米原ルートが信任されたと考えるものがいるが、はたしてそうなのであろうか。法的強制力があるかいなかは別として、2017年に小浜・京都ルートが正式決定されたと広く認識されている。若狭地方の地元が待望する小浜・京都ルートをそんなに簡単に覆してよいものか。京都の選挙結果を踏まえて大阪府知事が小浜ルートの再検討を提言したが、ただちにJR西日本のみならずJR東海・福井県・滋賀県が反対の立場を表明した。肝心の京都府は、態度をあいまいにしている。小浜を経由するルートの実現可能性をとことんまで追求した上で不可能であるとの結論に達したのであれば、福井県民に対し新幹線小浜駅を提供すること以上に何ができるのかを先に明示してから米原ルートを公約にすべきであったと筆者は考える。福井県が原子力発電所の設置を引き受けてくれたおかげで、この半世紀、関西の住民は快適な生活を送ることができたのを忘れてはならない。

京都・敦賀間最適ルートの提示

いにしえの時代から、若狭の国は御食つ国(みけつくに)といわれ、京の都に海産物を提供してきた。京から小浜に至る道を若狭街道と言い、その送られてくる産物から鯖(さば)街道とも言われてきた。洛北から大原・朽木を通り、高島市保坂で西北西に向きをかえて小浜に至る。古くからの街道なのであるから、新幹線線路の敷設に長いトンネルを必要とするようなことはなく、環境への負荷も小さい。また、この街道はほぼ直線状であり、新幹線の走行にはうってつけである。

それならば、選定においてなぜこのルートが採用されなかったのか。その理由は、さば街道から小浜に至りそのまま進むと舞鶴に向かい、敦賀が反対方向に位置することなのであろう。その解決策を提示する。小浜に到着した後、車両を小浜から後ろ向きにもと来た方向に戻し、どこかで順方向にもういちど車両の向きを修正すればよい。そして、その場所は若狭町上中であろう。上中はJR小浜線が西方向と北方向に直角に曲がる地点であり、小浜から引き返してきた車両をJR小浜線に沿って北方向にすすめ、そこに新幹線上中駅を設置し、再度、南方向に折り返すことによって進行方向を前向きに戻す。この手法をスイッチバックという。このまま保坂から箱館山西麓・野坂山地東麓、さらに、延喜式における平安時代の官道(現マキノ黒河林道)沿いの谷筋を一気に北上すれば敦賀に至る。

朽木から箱館山西麓まで短絡線を設置すれば、サンダーバードは京都・敦賀間をほぼ一直線に飛翔する。筆者は小浜経由の列車を特急マカレル(愛称 マックあるいはオバマック)と名付けたい。さばの英語Mackerelからのネーミングである。さらに、小浜からの列車をスイッチバックさせる場所は上中でなくてもよいのかもしれない。京都から小浜に向かう途中で、先に琵琶湖畔にてスイッチバックし、後ろ向きに小浜に向かうことも考えられる。すなわち朽木から安曇川沿いに東行し、JR湖西線新旭駅付近に新幹線新駅を設置し、ここでスイッチバックする。小浜で再度スイッチバックして新幹線上中駅南方を通過して敦賀に向かう。新幹線高島駅が設置されれば、北部湖西地方と京都市街地を15分強で結ぶことができる。京都駅を経由する必要がなくなり、京都駅の混雑解消にも役立つ。高島周辺には不足する京都の宿泊施設、とくに若者旅行者や国際会議参加者のための安価な宿泊施設を整備することが期待される。このルートをすすむ列車の名称は、びわますにちなんで特急トラウト(ます Trout 愛称ティーアールあるいはタカレール)でどうであろうか。

京都市内通過ルートの提示

次に京都市内を通過するのに最適なルートを提示する。一般の地下鉄と同じ深さで、途中、複数の中間駅を経て、京都駅から国際会館駅に至る。京都駅は堀川通が東海道新幹線および同本線と交差する位置の堀川通地下に設置する。京都駅烏丸口から約400メートル西側となる。堀川通を北進し、四条通と交差する地点に四条駅を設置し、阪急電鉄京都線および京福電鉄嵐山線と連絡する。さらに北進し御池通と交差する地点に二条駅を設置し、地下鉄東西線と連絡する。さらに北進し紫明通と交差する地点で北東方向に向きをかえ紫明通に入る。そのまま紫明通から加茂川をくぐったのち、下鴨疎水通の地下を進み、下鴨本通と交差する地点で北方向に向きをかえる。北山通および京都地下鉄烏丸線と交差する地点に下鴨駅を設置する。ここにある京都ノートルダム女子大学は近く教育活動を終了すると公表されているので、その跡地を利用してバスやタクシーのターミナルを設置し観光客の便宜を図る。そのまま北進し東方向に向きを変えて国際会館駅に至る。このルートの特徴は、道幅が非常に広い堀川通と、道幅が広く交通量の少ない紫明通を経由することである。本年6月6日、京都市議会が京都市内を通過するルートに反対する決議を可決したが、その理由の主なものは、市街地での大深度地下の工事であることと混雑などの工事そのものの負担によるものであった。堀川・紫明・下鴨ルートの工事負担は地下鉄烏丸線のそれとほぼ同等のものであり、その経験を活かすことによってなるべく住民に負担をかけずに工事を実施することができる。

さらに、京都市内に5つの駅を設置することは、大変な混雑をきたしている京都駅への負荷をおおいに軽減する。国際学会に参加するために京都駅で出場して地下鉄に乗り換え国際会館駅で降りることを考えてみてほしい。京都駅で東海道新幹線から北陸新幹線に乗り換え国際会館駅に到着することができればどんなに楽であろうか。嵐山・金閣寺・銀閣寺に向かう観光客が京都駅からでなく、四条駅、下鴨駅から入洛することのメリットを考えてみてほしい。さらに、出町柳駅から国際会館駅まで京阪電鉄線を延伸することによって、北陸新幹線は国際会館駅で地下鉄烏丸線と京阪電鉄線という2本の京都南北軸と直結することになり、京都市内の交通事情はおおいに改善される。

筆者の夢想解

さて、この京都駅・堀川・紫明・下鴨・国際会館駅ルートが北陸新幹線京都市内通過問題への最適解であると筆者は信じるが、さらにひそかに夢想しているルートがある。それは、現在の京都駅ホームの直上に北陸新幹線京都駅ホームを設置する夢のルートである。在来線ホームを1層、東海道新幹線ホームを2層とすると、北陸新幹線ホームはその上の3層に位置することになる。このホームは他のすべてのホームと直交するので、エスカレータひとつで東海道新幹線および在来線から北陸新幹線に乗り換えることが可能となる。その場所は南北烏丸通の線上の空中である。現在、京都駅ビルには京都駅烏丸小路として、ぽっかりと、まるで北陸新幹線列車が通過するのを待っているかのように穴があいている。京都駅烏丸口東側エスカレータを乗り継いで烏丸小路までぜひ登ってみてほしい。そこに立つと、北は丸太町通から南は鴨川まで、烏丸通が5km以上、南北に一直線に伸びているのが見通せる。

この3層の北陸新幹線ホームを設置するためには、丸太町通以南の烏丸通に高架で新幹線を走らせること、京都御苑敷地の西端を通過すること、さらにそこで高架から地下に移行すること、さらに一部の木々を移植すること、相国寺の地下を通過すること、相国寺北から下鴨疎水通までの民家の下を通過することの許可が必要である。京都御苑を列車が通過することはきわめて不遜であるように感じられるが、新宿御苑端の地下を都営地下鉄新宿線が通過している前例があるので宮内庁にはなんとしても許可していただきたい。また、相国寺地下を通過させていただけるのであれば、敬意を表して今出川通北側の相国寺門前に相国寺承天閣美術館駅を設置したい。もちろん相国寺関係者のみならず、多数の同志社大学関係者が利用することになるのはいうまでもない。そして、何より地下を新幹線が通ることになる上京区および左京区住民のみなさんには、陛下の行幸、いや、ご帰洛にかかわる事項としてなんとしても同意をお願いしたい。

いまひとたびのみゆき待たなむ

大変不遜であることを承知で申し上げると、天皇陛下も前期高齢者になられた。上皇陛下と同じ86歳で退位なさると仮定しても、これから20年間はわたしたち国民のため、各地を巡幸され、わたしたちを見守り続けてくださるものと思う。国立京都国際会館では重要な国際会議がしばしば開催され、天皇陛下をはじめ皇族のかたがたにお出ましを願うことも多い。2層の東海道新幹線ホームから3層の北陸新幹線ホームに、エスカレータひとつでここちよくお乗りかえいただき、国際会館駅まで北陸新幹線でお越しいただくことができれば、おからだにかかるご負担もおおいに軽くなるものと思われる。また、京都御所前に京都御苑臨時駅を設置すれば、国際会議からのお帰りの際、陛下が京都御所に宿泊される機会も増えるのではないか。そして、御苑の植物や鳥に興味をもたれ、ちょっと京都御苑にいってくるというようなご感覚で、観察のためだけに帰洛なさることもあるのではないか。筆者は北陸新幹線京都御苑臨時駅が設置され、そのために必要な京都駅3層に位置する北陸新幹線ホームが設置されることを夢想してやまない。

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